民族共存から世界平和へ――ザッハー=マゾッホの多文化的世界

 

【出典と要約】

 

AmazonKindle】として2014年3月出版

 

【初出】: 『間文化の言語態』(東大出版会、2002年5月)、119〜139頁

【要約】:

 本論においては、東ヨーロッパの民族問題を描く作家としてのザッハー=マゾッホの側面を論じた。『密使』はガリツィアをめぐるオーストリアとポーランドの対立を、男女の恋愛を軸にして描き出している。カローラをめぐるローマンとブルクのライバル関係は、ガリツィアをめぐるポーランドとオーストリアの対立である。『再役兵』では、小ロシア人とポーランド人の対立が描かれている。カタリーナをめぐるバラバンとポーランド人地主との確執は、ガリツィアをめぐる小ロシア人とポーランド人との争いとして読み解くことができる。『ユダヤ人描きのラファエル』のテーマは、ユダヤ人と非ユダヤ人の共存の問題である。『イルイ』は、民族や宗教を超えた多民族・多文化の共存の重要性を強く訴えている。ザッハー=マゾッホの文化多元主義は、民族と文化の混交の中に豊かな創造的契機と世界平和の可能性を見出そうとした。

 

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