カフカの「二つの動物物語」(1

――「ジャッカルとアラビア人」――

 

【出典と要約】

 

【出典】:『言語・情報・テクスト』(東京大学大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻・紀要)、VOL 14, 2007, pp. 1-23.

この論文は、大幅に加筆訂正の上、『カフカ ブーバー シオニズム』の第8章に用いられている。

【要約】:

ブーバーが主宰する雑誌『ユダヤ人』に掲載されたカフカの「ジャッカルとアラビア人」と「ある学会への報告」は、シオニズムとユダヤ人問題との文脈で解釈できる。

本稿では最初に、当初『ユダヤ人』に文学作 品を掲載することを拒否していたブーバーが、ヴェルフェルの詩やカフカの短編作品を掲載するにいたった、「文学作品」と「ユダヤ性」に対する彼の見解の変 化を追う。ブーバーは「魂のユダヤ人問題」が見出される文学作品を『ユダヤ人』に掲載したので、彼がカフカ作品にユダヤ人問題に関する何らかの「寓意」を 見ていたことは確実である。

「ジャッカルとアラビア人」はユダヤ人問題 へのほのめかしを豊かに含んだ作品である。ドイツ文学の伝統で、死肉をあさるジャッカルはユダヤ人の比喩として使われてきた(ティスマル)。「清浄さ」、 「血」、「職業と労働」、「世界を二つに引き裂いている争い」など、作品に登場するイメージは、ユダヤ人問題との関連で解釈される。「長年の錆びが一面に こびりついたハサミ」にカフカは、ブーバーのシオニズム・イデオロギーが、ユダヤ教という古い観念の焼き直しにすぎないという批判を込めている。

 

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