『ミレナへの手紙』の新しい日付と1920年後半のカフカ

【出典と要約】

 

【出典】:東京大学教養学部外国語科研究紀要第41巻第1号、1993年、27頁74頁

【要約】:

 本論は、拙稿「カフカのアフォリズムの謎(上)「(東京大学教養学部外国語科研究紀要第38巻第1号、1991年3月30日、1頁55頁)、「カフカのアフォリズムの謎(下)」(東京大学教養学部紀要・比較文化研究第29輯、1991年3月、45頁143頁)への補足と追加の論文である。

 批判版カフカ全集の編集人の一人であるJost Schillemeitは、「伝達と伝達不可能なもの。『ミレナへの手紙』の日付決定と1920年のカフカの《執筆》によせて」(1988年)という論文において、ボルン/ミュラー版の増補改訂版『ミレナへの手紙』への日付推定を根本的に見直し、新しい日付を提案した。これは、『ミレナへの手紙』と1920年後半のカフカの執筆活動(いわゆる書類束A、B、C)の「相互浸透」を視野に入れたすぐれた推定である。シレマイトの研究によって、ブロート版全集をもとに行なった「カフカのアフォリズムの謎」における日付推定に若干の修正の必要が生じた。しかし、厳密に検討すると、シレマイトの推定にも過ちがあることが予想され、本論はそれに代わる、より正確な日付推定を行なっている。シレマイト論文によっても、カフカによるアフォリズムの編集作業がミレナ体験と密接に関連しているという「カフカのアフォリズムの謎」の基本的テーゼはあらためて確認された。

 

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