カフカの八折判ノートのいくつかの問題

――短編「家父の気がかり」と「特権意識」をめぐって――

 

【出典と要約】

 

【出典】:『言語・情報・テクスト』(東京大学大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻・紀要)、VOL 13, 2006, pp. 67-80.

 

【要約】:カフカは1917年に錬金術師小路で書いた八折判ノートの短編作品中から、気に入った作品14篇を選んで『田舎医者』(1919年)を出版したが、出版に先立ち、何度か採用する作品の選択とその配列を変更している。本稿では最初にカフカの作品リストの変遷を追い、次に「家父の気がかり」の成立時期と「特権意識」について考察している。「家父の気がかり」については、批判版全集は作品の成立時期を1917年4月初めとしているが、この作品は4月22日以降にしか書かれえなかったことを論証している。またカフカが最初のリストで題名をあげ、その後リストからはずされた「特権意識」という忘れられた作品は、八折判ノートBの無題の短編作品であると同定できる。カフカのブーバー批判が読み取れるこの作品は、「万里の長城」の先駆的作品である。

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