カフカの『万里の長城』における民族、国家、宗教

【出典と要約】

 

【出典】:思想[岩波書店]第796号、1990年10月、112頁―127頁(1990年3月北京で開かれた「日中ゲルマニスト共同シンポジウム」において行なったドイツ語発表が日本語原稿のもとである。)

※この論文は、加筆訂正の上、『カフカ ブーバー シオニズム』の第5章に用いられている。

 

【要約】:
 古代中国を舞台にしたカフカの未完の断片『万里の長城』(1917年3月)は、中国社会を統一している三つの社会的装置、すなわち長城建設、皇帝への信仰、そして謎めいた指導部についての語り手の考察という形で書かれている。本論では長城建設の問題だけを扱っている。この作品はアレゴリー的な性格を持った作品で、中国人とはユダヤ人を、長城建設はユダヤ人国家の建設というシオニストの努力を、作品中に登場する学者はマルティン・ブーバーをほのめかしている。カフカはシオニズムのイデオロギーに懐疑的で、自分自身は「地団太を踏みながら小舟に飛び乗った船頭」として、この偉大なユダヤ的事業の文学的報告者にとどまろうとした。

 

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